居候のはじまり

俺は28才のサラリーマン。
彼女は2つ年上の30才で個人事業をやっている。

その彼女が住んでいた部屋で同棲をしていると言えば普通かもしれないが、
現実的には俺が居候しているという形が正しい。

きっかけは、俺が前に住んでいたアパートに彼女が初めて来た時だった。
その頃にはもう付き合っていたが、終電がなくなった時に俺の家の方が近かったので、彼女が遊びに来た。

ところが、そのアパートは古くて本気で汚かったのだ。
「うちは部屋が1つ余ってるし、このアパートやめてうちに来たら?」
という彼女の一言で居候が決まった。

俺は普通のサラリーマンでギリギリの生活をしていた。
彼女は自分で仕事をやっていて俺よりはずいぶんと余裕があるっぽい。

それで居候を始めたわけだが、何と居心地のいいこと!
朝出かけるのは俺の方が早い。
でも朝ごはんはいつも用意してくれる。

夜帰ってくるのは同じくらいなので、ほとんどは一緒に買い物をして、
一緒に夕食の準備をして、その後も飲みながら楽しく過ごしている。

しかし、そんな俺にも心配事がある。
それは、「この生活はヒモに近いのではないか?」ということ。

とても楽しい生活なのだが、あまりにも甘え過ぎて、男としては少々情けない感じが払拭できない。
家賃も払っていなければ、光熱費も全く負担していない。
買い物や外食の時には俺が払うことにしているが、それでも負担は少ない。

これでいいのか?
そう思って彼女に聞いてみたが、彼女も一人暮らしの怖さが消えるので、別にかまわないらしい。
それでも、申し訳ないと思うので俺はある決断をした。

「貯金をする!」

今まで一人暮らしをしていた時には全く貯金ができなかった。
特に趣味が多いわけでも無駄遣いするわけでもなかったが、給料は全て生活費で消えていた。
それが今の生活なら貯金ができる!

「ヒモにはなりたくない!」
居候には居候の意地があるので、貯金をすることを決めた。
貯めたお金は何か彼女のために使いたい。もし結婚という話しに進めば結婚資金にすればいい。
これは、居候にしてはまともな考えだと思う。